はじめに / 付録
数字とリンク集
東京の林業と木材産業を、数字、木の値段、制度とリンクの三つに分けてまとめました。数字は東京都の統計資料『東京の森林・林業』令和7年版を中心にしています。[1]
東京の森を数字で
東京の林業を数字で見る
製材用の素材生産量は、昭和35年度の140千m³から、令和5年度には42千m³まで減りました。[1] 林業産出額は全国の約0.1%です。森林が都の面積の4割を占める一方で、木材産業としての規模はごく小さいことがわかります。
自治体別の森林面積
森林は一部の町村に集まっています。奥多摩町だけで、東京の森林の4分の1を超えます。
単位 ha。緑は多摩、茶は島しょ。奥多摩町を100とした長さで描いています。出典:『東京の森林・林業』令和7年版[1]。自治体別の素材生産量や産出額は、この資料からは取り出せていません。
木の値段
木の値段を、牛丼と比べると
丸太や木材の値段は、ふだんの買い物と比べると実感がわきます。ここでは、総務省の統計で東京都区部の価格がわかる「牛丼1杯」と比べてみます。2025年の牛丼(外食)は1杯489円でした。[2]
| もの | 値段(2025年) | 牛丼に換算 |
|---|---|---|
| スギ丸太 1m³(1m×1m×1mの量) | 15,400円[3] | 約31杯 |
| ヒノキ丸太 1m³ | 25,300円[3] | 約52杯 |
| カラマツ丸太 1m³ | 15,400円[3] | 約31杯 |
| スギ正角(乾燥材)1m³ | 75,900円[3] | 約155杯 |
| スギ柱1本(10.5cm角・長さ3m、約0.033m³) | 約2,500円 | 約5杯 |
丸太の値段は林野庁白書の令和7年の全国平均の素材価格、牛丼は総務省統計局の東京都区部の価格です。柱1本の値段は、スギ正角の1m³あたりの価格から体積で割り出した計算値で、実際の売値とは違います。そば1杯で考えたい場合は、近くのお店の値段で割り算してみてください。
スギの丸太1立方メートルは、牛丼30杯ほどの値段です。その丸太になるまでには、植えてから50年以上、下刈りや間伐の手入れが続きます(第2章)。製材して乾かすと値段は丸太の約5倍になります。山で育てた時間が、丸太の値段にほとんど反映されていないことが、多摩の木が伐られない理由の一つです。
昔の木の値段を、今の牛丼で数えると
過去の値段は、そのままでは今と比べられません。そこで、消費者物価指数で2025年のお金に直し、2025年の牛丼1杯489円で割りました。[2][4][5] 「丸太」は製材工場が買うときの値段、「立木」は山に立ったままの木を売るときの値段で、伐り出しや運び出しの費用を引いた、山の持ち主の取り分にあたります。
| 年 | スギ丸太 1m³ 当時の値段 | 2025年の お金で | 今の牛丼 何杯分 | ヒノキ丸太 何杯分 | スギ立木 何杯分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1960 昭和35 | 11,300円 | 約70,600円 | 約144杯 | 約153杯 | 約91杯 |
| 1970 昭和45 | 18,800円 | 約68,100円 | 約139杯 | 約278杯 | 約98杯 |
| 1980 昭和55 | 39,600円 | 約60,500円 | 約124杯 | 約239杯 | 約71杯 |
| 1990 平成2 | 26,600円 | 約33,200円 | 約68杯 | 約173杯 | 約37杯 |
| 2000 平成12 | 17,200円 | 約19,800円 | 約40杯 | 約95杯 | 約18杯 |
| 2010 平成22 | 11,800円 | 約13,900円 | 約28杯 | 約52杯 | 約6杯 |
| 2025 令和7 | 15,400円 | 15,400円 | 約31杯 | 約52杯 | 約8杯(2024年) |
丸太は中丸太の全国平均価格、立木は利用材積1m³あたりの山元立木価格(森林・林業学習館の集計による。元は農林水産省「木材需給報告書」と日本不動産研究所「山林素地及び山元立木価格調」)。[6][7] 2025年の丸太は林野庁白書の値です。[3] 物価の換算は全国の消費者物価指数(総合、2020年=100)で、1960年17.9、1970年30.9、1980年73.2、1990年89.6、2000年97.3、2010年94.8、2025年111.9を使いました。[4][5] 1969年以前の指数は「持家の帰属家賃を除く総合」で、厳密にはつながっていません。2024年の立木は物価の換算をしていない当時の値段です。
スギ立木1m³の値段を、今の牛丼の杯数で表したもの。1970年を100とした長さで描いています。
名目の値段の天井は1980年ですが、物価をならすと、スギの丸太がいちばん高かったのは1960〜70年ごろで、今の牛丼140杯前後でした。今は31杯ほどで、約4分の1です。山の持ち主の取り分である立木はもっと大きく下がり、1970年の約98杯から2024年は約8杯、10分の1以下になりました。立木の値段は、丸太の値段から伐り出しや運び出しの費用を引いた残りです。名目の値段で見ると、1980年は丸太39,600円・立木22,707円、2024年は丸太15,900円・立木4,127円で、丸太は4割ほどに下がったのに対し、立木は2割を切りました。差額(伐り出しなどにかかる分)が丸太ほどには縮まなかったためです。[6][7]林野庁の白書も、平成28年(2016)の立木価格は1980年のピークと比べてスギで12%、ヒノキで14%の水準だとしています。[8]
昔の人が植えた木は、植えた当時の値段なら、子や孫の代の大きな財産になるはずでした。いま伐りどきを迎えている木の多くは、そのころ戦後の拡大造林で植えられたものです(第2章)。
物価指数は暮らしの品物全体の値上がりで換算したものです。賃金の伸びで換算すると、結果は変わります。江戸時代の材木の値段との比較はまだ手をつけていません。
制度とリンク
補助と税
森林環境譲与税(令和6年度)
森林環境譲与税は、国が集めた森林環境税を都道府県と市区町村に配るお金です。令和6年度、東京都への譲与額は都の分が204,496千円、区市町村の合計が1,840,460千円でした。[9]
| 地域 | 譲与額(千円) |
|---|---|
| 区部 | 1,147,239 |
| 多摩地域 | 675,921 |
| 島しょ部 | 17,300 |
| 区市町村計 | 1,840,460 |
出典:東京都『森林環境譲与税 使途事例集』令和6年度[10]、林野庁 譲与額資料[9]
森林がほとんどない区部が、譲与額の6割以上を受け取っています。区市町村の使い道で最も多いのは木材利用・普及啓発で、1,342,164千円でした。森林整備は340,292千円、基金への積み立ては384,307千円、人材育成は6,105千円です。[10]
使い道の合計は譲与額の合計と一致しません。資料の数字をそのまま載せています。
都の補助事業の例
| 事業 | 中身 | 金額など |
|---|---|---|
| 林業経営体強化に資する山の相談支援事業(2026年〜) | 森林所有者と地元の林業経営体をつなぎ、森林調査と整備計画づくりを支援[11] | 補助率10分の10以内、上限90万円(対象1ha以下は45万円)[11] |
| 林業機械化促進事業 | 林業機械の購入・レンタル経費の一部を助成。IoTなど先進技術を載せた機械も対象[12] | — |
リンク集
行政
- 都東京都産業労働局農林水産部が森林・林業を担当。統計『東京の森林・林業』を発行
- 都TOKYO MOKUNAVI東京の木材利用の情報サイト
- 都東京都水道局多摩川上流の水道水源林を管理
- 国林野庁森林・林業白書、森林環境譲与税の資料
- 国関東森林管理局高尾山・小笠原などの国有林を管理
公的団体とその窓口
- 財団東京都農林水産振興財団森林の整備、花粉対策の伐採と植え替え、林業の担い手育成
- 財団TOKYO GROWN同財団が運営する東京の農林水産物の総合サイト
- 窓口多摩産材情報センター多摩産材の情報と相談
- 窓口林業就業NAVI東京で林業の仕事に就くための情報
- 窓口とうきょう林業サポート隊ボランティアによる森林整備
- 窓口花粉の少ない森づくり運動花粉の少ない森づくりへの参加・募金
リンク先は財団のサイト TOKYO GROWN に掲載された一覧から確認したものです。[13]
業界団体(公式サイト未確認)
次の団体は都の審議会林業部会の委員名簿に名前がありますが、公式サイトのアドレスはまだ確認できていません。[14]
- 組合東京都森林組合
- 団体一般社団法人 東京都木材団体連合会
- 組合多摩木材センター協同組合
- 団体東京都林業研究グループ連絡協議会
調べものに
- DB巨樹・巨木林データベース環境省。全国約7万本の巨樹を検索できる
- 研究徳川林政史研究所公益財団法人徳川黎明会。刊行物は付録 林政史と文献を参照
出典
- 東京都産業労働局『東京の森林・林業』令和7年版 PDF
- 総務省統計局「小売物価統計調査のはなし」(牛丼の価格推移) PDF
- 林野庁『令和7年度 森林・林業白書』第3章(木材価格) リンク
- 内閣府『令和4年度 年次経済財政報告』長期経済統計「物価」(消費者物価指数) リンク
- 総務省統計局 統計メールニュース(2025年平均 全国消費者物価指数) PDF
- 森林・林業学習館「山元立木価格」(元データ:日本不動産研究所「山林素地及び山元立木価格調」) リンク
- 森林・林業学習館「木材価格の推移」(元データ:農林水産省「木材需給報告書」) リンク
- 林野庁『平成28年度 森林・林業白書』第3章(木材価格) リンク
- 林野庁 森林環境譲与税 譲与額資料(令和6年度) PDF
- 東京都『森林環境譲与税 使途事例集』令和6年度 PDF
- 東京都 報道発表「林業経営体強化に資する山の相談支援事業」(2026年6月15日) リンク
- 東京都農林水産振興財団「森林整備と林業振興」 PDF
- TOKYO GROWN(東京都農林水産振興財団) リンク
- 東京都農林・漁業振興対策審議会 林業部会 委員名簿 PDF